だから何ですか?Ⅱ【Memory】



「そうね、嫉妬深い猫に噛まれるから手短にしようじゃない。・・・返して!」


『何を〜?あ、ネックレス?ごめんね〜、この前こっそり盗っちゃって』


「ネックレスなんてもういらない!そうじゃなくて、最近の話じゃない。2年前の事の方」


『相変わらず主語が無い』


「私のジッポ、返して!」


『違う。・・・伊万里くんのジッポでしょ?』


「ミケが・・・持ってたんだ」


『返してあげるよ。菱塚の近くの交差点にコーヒーショップあるでしょ?仕事上がりにそこでどう?』


「無理。伊万里さんと約束ある」


『返すだけだよ?時間もかからない。むしろリオが少し早く会社出れば定時には伊万里くんとデートタイムじゃない』



何が問題?と、含みを見せる言葉は、確かに素直に聞き入れれば納得はする。


それでも相手が問題で、素直に聞き入れた日には痛い目をみる。



「ミケの言葉に『そっか〜』なんて素直に乗ると思う?」


『あ、酷いな〜、人の善意を。俺の意地悪に屈しなかった2人を祝して返してあげようと思ったのに』


「何が善意!?人から盗み働いて、それを返さすのが善意とかどんだけ上からの物言い!?」


『ま、俺は別にこのまま持っててもいいんだけどね〜。返す場所だって考慮して人の多い場所選んであげたのに』


「っ・・・」


『ちなみに、親切心は今日限り〜。ほら、俺って知っての通り気分屋でしょ?後日の返却要求は自宅まで来てもらうよ?』



どこまでも小狡い手を・・・。

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