俺にもっと溺れろよ。




「な、な、名前教えてください」





次は、噛み噛みになりながらそんなら質問をしてくる。



さっき階段から落ちそうになったっていうのに呑気なやつだな。




「早瀬 朔」





俺は質問に答えて、軽く笑顔を見せて立ち去ろうとする。





今日は、昼までだし、午後何すっかなって考えてる時だった──。






「好き」





さっき助けた1年がそんな言葉を言ったのは。






「......は?」







急に好きとか言い出すから、思わず声に出てしまった。



いや、急になに!?



普段あまり驚かない俺でも、流石に驚いた。






「俺は、多分お前を好きにならない」






だけど、すぐにこの答えをだす。



いつもそうだ。



どうせこの女も俺の顔が好きなんだろ。




自分で言うのはおかしいと思うが、俺は容姿が普通の人よりも......優れているらしい。



俺がこう思うようになったのは、小学校、高学年になった頃からだ。





高学年に上がるにつれ、俺は告白されることが増えていった。



別に最初は嫌じゃなかった。




いやむしろ、嬉しさの方が勝っていた。





だけど、中学に入ってだんだん気づいていった。






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