好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】

「今まで淋しい時間があったんだから、思いっきり甘えていいと思うよ」

気遣うように言われて、唇を噛んだ。

この兄弟は……黎の方が言葉遣いは荒っぽいけど、芯を射抜くようなことを不意に言ってくるから困る。

「……海雨には、まだ言わないでほしい」

「全部?」

「桜城くんの家のこととかは私が決められることじゃないけど、影小路やうちの方に関することは、私が向かう先を決めたら、話そうと思ってる」

私が影小路へゆくことを決めた中には、海雨の存在がある。

海雨は、私のこれからに無関係ではいられない。

だから、これは私が決める自分の将来だから、決めてから、話せることは、話そうと考えている。

「わかった。俺も、下手に家のことを知られたいとは、思ってないから」

「……ありがとう」


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