好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】

黒はため息をつく。

「………梨実海雨についた妖異を喰らったのは、真紅か……」

「今は紅緒様によって封じられてるから、真紅というよりは真紅の潜在能力とでもいうべきかもしれない。幼稚園から一緒だと言っていたから、恐らく海雨の命は、その頃に尽きるはずだった」

「妖異によって落命するはずだったものが、なまじ力のある真紅が近くにいたから、妖異の方が真紅に負け残滓のみを残して滅んだ」

「……真紅には言っていないが、現在海雨の命は、残滓で繋がれているフシがある。十年も前に終わるはずだった命を、今まで繋いできたんだ。いくら始祖の転生とはいえ、無意識でそこまで出来るとは考えにくい。妖異が遺した力が生きていることによって、海雨の命も、また……」

そこまで言って、歯噛みした。

< 276 / 413 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop