好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】

……私さ、黎がすきなんだ。るうちゃんは、黎のこと知ってるかな?

紫色の小鳥はぴくりともしない。寝入っているのだろうか。

……でもね、私は、黎にとって毒なんだって。

毒は殺人の方法の一つだ。

近代ではそうでもないが、古来、腕力で劣る女性による殺害の道具であったらしい。

毒に魅入られた歴史上の人物なんて、危ない人しかいない。

……私も、自分の血が嫌い。

すきな人を殺してしまいかねない血で生きているなんて。

……けど私、この血でなかったら、黎に逢えてたのかな……?

そこを天秤にかける意味はない。少しでもこの血を正当化したいだけだ。

じゃないと、自分でこの血を、狩り尽くしてしまいたい気持ちになる。

『真紅嬢よ』

< 287 / 413 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop