陽華の吸血鬼①【一人称修正ver.】【完】
「……どういうこと? 黎は……大丈夫なの?」
「黎。お前、その近さにいて真紅の血がほしいと思わないのか? 一度飲んだんだろう?」
黒藤さんが投げた質問に、みおさんと白衣の男性はぎょっとした。
「黎⁉ お前そんなことを⁉」
「まさか、影小路の姫の血を飲んだのか⁉」
同時に怒鳴られて私がびくっとしてしまった。
矛先を向けられている黎は平然としている。
黒藤さんの問いかけへの返事でも考えているようだ。
そして、じっと私の顔を見て来た。
銀色の瞳。また、その瞳に映ることが出来た――
その感慨に泣きそうになっていると、黎は私の手に触れて来た。
「……血より、こっちのがいいな」