見上げてごらん、夜空に輝くあの星を
(あ、あれ...?ここはどこだ?)
目の前にあるのは見知らぬ天井だった。どこの家も天井なんか変わらないし寝起きじゃそんなことわからないだろ、と思うかもしれないが、そんな程度の些細な違いではなかった。天井はいつもより高く、少し豪華な風貌を醸し出していた。
(ああ、そうだ。昨日迷い込んで...女の子と出会って...星を、綺麗な星空を見たんだ)
その情報を寝起きの頭が処理していくごとに記憶は蘇ってくる。特に夜空は一生忘れないだろうと直感した。
「それにしても... この部屋広いな」
部屋の中を見回すと、およそ小学生が身を置けるような雰囲気ではなかった。
カーテンも開いていない窓をチラりと見て、部屋の扉であろうものに手をかけ、開ける。
出た先は、右も左も天井の高い廊下であった。
(春乃の家ってお金持ちだったんだな...)
昨日“誕生日に望遠鏡を買ってもらった”と言っていたところで気づくはずだった。しかもあんな立派なものを。コテージなんていうものも普通はないだろう。
あの時は自分のことでいっぱいいっぱいで周りなど気にする余地はなかったのだ。そう小さな言い訳を心にとりあえず廊下の右へと進んで行った。
脇にあった広い階段を下って行くと、大きな扉があった。少し開けて覗き込むと、予想以上に音が響いた。すると中から足音が聞こえてその扉は開かれた。
「あ、やっぱり涼磨だ!おはよう、よく眠れた?」
春乃は満面の笑みで起きてきた俺に話しかけた。
「うん。でもなんでここに?」
「あー涼磨あのまま寝ちゃったからさ。大丈夫だよ、涼磨の家にはちゃんと連絡しておいたから。でも良かった!3年生の時の連絡網取っておいて」
春乃と俺は一度だけクラスが同じになったことがあった。その時はクールな感じで話したことは一度もなかったが、今目の前にいる春乃の姿からは予想ができないものだった。
(それにしても家に連絡した....か。またあの生活に戻らなくちゃいけないのか)
苦虫を噛み潰したような表情を隠しきれず、笑顔の春乃の目を見つめてしまう。
「大丈夫。私が付いてるからさ、嫌なことがあったらここに来て?」
「う、うん。そうだね!」
その言葉がどれだけありがたかったことか。要するに俺は自分を肯定し、味方してくれる存在を欲していたのだ。
「昨日はありがとう。お陰で心が軽くなったよ!」
俺は満面の笑みを春乃へと向け、春乃はその様子を見て、小さく頷いた。
「いいの、私も楽しかったから。私、外で友達と遊べないから、誘われてもずっと断って来たの。久しぶりに同年代の子と好きなことについて話せて、本当に楽しかった!お母さんもウチに友達が来ることについてダメとは言ってなかったけど、誘いを断ってるうちにみんな離れていって...ね」
「そうなんだ... 俺てっきり元々あんな感じの子なんだな、って思ってた。クールな感じの」
「あはは、周りからはそう見えてたんだね。でもしょうがないよ、自分のせいでもあるし、孤立しちゃうのはね...」
「そっか。でも大丈夫だよ、これからは俺が春乃の友達だからさ!」
そんな自分らしくない言葉をかけた直後、恥ずかしさを感じながらも、舌を出してごまかしながら同時に変な満足感のようなものを感じていた。
目の前にあるのは見知らぬ天井だった。どこの家も天井なんか変わらないし寝起きじゃそんなことわからないだろ、と思うかもしれないが、そんな程度の些細な違いではなかった。天井はいつもより高く、少し豪華な風貌を醸し出していた。
(ああ、そうだ。昨日迷い込んで...女の子と出会って...星を、綺麗な星空を見たんだ)
その情報を寝起きの頭が処理していくごとに記憶は蘇ってくる。特に夜空は一生忘れないだろうと直感した。
「それにしても... この部屋広いな」
部屋の中を見回すと、およそ小学生が身を置けるような雰囲気ではなかった。
カーテンも開いていない窓をチラりと見て、部屋の扉であろうものに手をかけ、開ける。
出た先は、右も左も天井の高い廊下であった。
(春乃の家ってお金持ちだったんだな...)
昨日“誕生日に望遠鏡を買ってもらった”と言っていたところで気づくはずだった。しかもあんな立派なものを。コテージなんていうものも普通はないだろう。
あの時は自分のことでいっぱいいっぱいで周りなど気にする余地はなかったのだ。そう小さな言い訳を心にとりあえず廊下の右へと進んで行った。
脇にあった広い階段を下って行くと、大きな扉があった。少し開けて覗き込むと、予想以上に音が響いた。すると中から足音が聞こえてその扉は開かれた。
「あ、やっぱり涼磨だ!おはよう、よく眠れた?」
春乃は満面の笑みで起きてきた俺に話しかけた。
「うん。でもなんでここに?」
「あー涼磨あのまま寝ちゃったからさ。大丈夫だよ、涼磨の家にはちゃんと連絡しておいたから。でも良かった!3年生の時の連絡網取っておいて」
春乃と俺は一度だけクラスが同じになったことがあった。その時はクールな感じで話したことは一度もなかったが、今目の前にいる春乃の姿からは予想ができないものだった。
(それにしても家に連絡した....か。またあの生活に戻らなくちゃいけないのか)
苦虫を噛み潰したような表情を隠しきれず、笑顔の春乃の目を見つめてしまう。
「大丈夫。私が付いてるからさ、嫌なことがあったらここに来て?」
「う、うん。そうだね!」
その言葉がどれだけありがたかったことか。要するに俺は自分を肯定し、味方してくれる存在を欲していたのだ。
「昨日はありがとう。お陰で心が軽くなったよ!」
俺は満面の笑みを春乃へと向け、春乃はその様子を見て、小さく頷いた。
「いいの、私も楽しかったから。私、外で友達と遊べないから、誘われてもずっと断って来たの。久しぶりに同年代の子と好きなことについて話せて、本当に楽しかった!お母さんもウチに友達が来ることについてダメとは言ってなかったけど、誘いを断ってるうちにみんな離れていって...ね」
「そうなんだ... 俺てっきり元々あんな感じの子なんだな、って思ってた。クールな感じの」
「あはは、周りからはそう見えてたんだね。でもしょうがないよ、自分のせいでもあるし、孤立しちゃうのはね...」
「そっか。でも大丈夫だよ、これからは俺が春乃の友達だからさ!」
そんな自分らしくない言葉をかけた直後、恥ずかしさを感じながらも、舌を出してごまかしながら同時に変な満足感のようなものを感じていた。