初恋は終わらない
ドキドキと、俺と同じテンポで刻む鼓動を感じながら、



「ひまり」


「……なぁに?」



何度呼んだか分からない、呼びなれた名前を呼べば、その愛しい響きに胸が甘く疼く。




「俺が良いヤツ、紹介してやろっか」



「え……?」



ひまりのことなら誰より知ってて。


ひまりのことを誰より大事に想ってる。




「ひまりのこと、絶対大事にすると思うんだけど。ひまりの彼氏に……鳴瀬 奏ってやつはどう?」


「……そ、そーちゃん!?」


「俺が彼女を作らない理由、分かった?」


ひまりの肩に頭をもたれて、ズルい俺はこの期に及んで、こんな曖昧な言葉と態度でひまりに俺の気持ちが伝わればいいのにって思ってる。


「え?……っ!!
ま、待って、そーちゃん!
もしかして、そーちゃんが彼女作らない理由って」


耳まで真っ赤に染まったひまりが、俺の胸の中であわあわし始めるから、それが面白くてついつい口元が緩む。


抱きしめていた力を少しだけ緩めて、真っ直ぐひまりを見つめれば、その瞳が俺を捉えて、恥ずかしそうに揺れた。




「俺たぶん、───────。」

「〜〜っ!?!////」



俺の初恋は、終わらない。



─── ひまりしか好きになれない。
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