THE FOOL
Side___
“お客様のおかけになった電話番号はでん_____”
「___源が入ってないんだろうねぇ。多分」
そう言って分かりきっていた案内を耳に流し込んだ精密機器をベッドの上に放り投げて歩き出す。
ああ、訂正。
「【多分】じゃない【きっと】だ。・・・・それに、故意に切っているのが正解」
そう誰に言うでもなく呟いて、皮肉に口の端を上げてソファーに乱暴に身を降ろす。
その顔を片手で覆って背もたれに身を預けながら天を仰ぐと、不意に脳裏に浮かんだフレーズが口から零れた。
「もーう、いいかーい?」
ああ、このフレーズに合わせて返すなら、
『まーだだよー』が正解なのか?
つまり鬼は俺・・・・。
でも・・・鬼から大事な物を奪って刺激して逃げた方がよっぽど悪い奴だと思わないか?
「雛華、・・・やってくれるよね」
よりによって・・・・俺が今一番大切にしてる物を横から掻っ攫うなんて。
「雛華じゃなかったら・・・、ヤバいところまで手を回して見つけ出して殺してたかもしれないよ」
ははっ、と軽く笑って自分の狂気を再確認する。
執着や独占欲に関して異常と言える程の血筋。
この血ばかりは自分が抗ったところでどうにもならない。
だからこそそれを認め、欲しい物はどうやってでも手に入れ傍に置いていたのに。
「少し迂闊だったか。・・・危険な賭けに負けた・・か」
好みが恐ろしく類似する雛華に彼女を合わせるのは賭けだった。
子供のころから何かと同じものを好み奪い合ってきていたから何となく予感はあった。
自分が本気になった彼女に雛華も何か感じる物があるかも知れないと。
だけど、牽制も含め対面させたのは俺の過ち。
すでに俺の物だと示そうと、婚約までしていると示し雛華も俺の珍しく本気なそれに気がついていた筈なのに。
何の探求心が働いてか、
姿を消した雛華と同時に消えた婚約者。
2人して連絡のつかない状況で犯人はおのずと割れてくる。
あいつの行動力のでかさは嫌って程見知って育っているんだから。
だけど、ただ気になる一点。
もうすでにこれだけの時間が経っているのに雛華はともかく彼女の方からも連絡が無い事。