目を閉じたら、別れてください。

ウソがばれたくなくて、彼に目を閉じるように言う。
素直に目を閉じたら、きっと彼が折れてくれた時だろう。
なのに彼はまっすぐ目を見る。
なので私は両手で彼の目を押さえて、唇を押し付ける。

足に置いた指輪が、ブレーキの上に落ちていく。

それを見ながら車から飛び出した。
これで彼とは離れられる。
もう恋愛はいい。お腹の傷だって見せたくないし、お見合いするぐらい出会いもなかった私だ。自分から飛び込まない限り、二度と恋愛なんてしなくて済むだろう。

一つの恋愛が終わったのは、一年前だった――。

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