難病が教えてくれたこと
李那、来てくれるのか…嬉しいなあ。
「みえー」
「ん?なあに、叶夢。」
叶夢が私の足元までハイハイしてくる。
李那はその様子を眺めてる。
「叶夢も少しずつ喋るようになったなあ…
そのへんの子どもより早いんじゃないか?」
感心したように叶夢をみつめる李那。
叶夢は私の膝の上でキャッキャしてる。
…何が面白いのかわからん。
けど可愛いからいい。
「叶夢、いつ立てるようになるかな?」
「…さあ…」
李那は叶夢を見てふんわり笑う。
しばらく私が模試や試験があって来れてなかったからなのか。
しばらく会わないうちに李那はお母さんの顔になってる。
顔自体はあんまり変わらないと思うんだけど、…なんだろうなあ…
雰囲気が違う。
「さてさて、海澪ちゃん。本題に入ろうか。」
…ん?本題?
…もしかして…
「秀一と一線越えたんだって?」
…なんで知ってるの、李那…
「残念ながら隠そうとしても無駄だからね?
恨むなら口のかるーい亭主様を恨んでね。」
…秀一めぇ…
余計なことを…
「秀一との事は何故か私にも伝わります。」
「…なんでぇ…」
「なんかわからないけど、教えてくれるから。」
私を通じて秀一と李那は仲良くなった。
元々陸上仲間というのもあるかもしれないけど。
いつの間にか名前呼びに変わってるからねえ。
「海澪進学だっけ?」
「そう、短大。」
「養ってもらいなよ。あはは!」
楽しそうに李那が笑う。
叶夢もそんな李那を見てケタケタ笑ってる。
「…そう、だねえ。」
…冗談だと思ってたけど、まさか本当に言われるなんて思ってなかったからねえ。
一線越えてしまった時もかなり焦ったけど。
焦りより、幸せの方が大きかったかなあ〜…
「惚気ならいくらでも聞くからさ。」
ぐっと親指を立てる李那。
…そうだね。
秀一との事も報告しとくか。
「お陰様で知っての通り一線越えました。」
「おおー」
「…」
「え、そこ止まる?!」
なんか言うの恥ずかしいんだもん。
まだ言わないもんね!
「そこは言えよ!」
「…うぅ…」
李那の有無を言わさないオーラ…
久しぶりに見たけど怖いです李那さん。
言うしかないのかあ…
「…プロポーズ、されました…」
「「おおおおおお!!!」」
李那と世莉香は柔らかい笑顔で私を見ていた。
「婚約おめでとうー!」
婚約…になるのかな?
「李那、どうしよ…」
「え?」
「どんな顔して、秀一見ればいいかわかんないい…」
恥ずかしすぎるよお…
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