難病が教えてくれたこと
李那が、自分を嫌いになるなんて…
俺だって自分のことが嫌いになりそうだ。
大好きな彼女の事を忘れたくなくて。
「いいですか?裕さん。
裕さんが別れた今、あの子を好きな人がチャンスだと思って奪いにいくかもしれないんですよ?」
…それは、嫌だ。
李那をほかの男に取られるなんて。
こんなに、好きなのに手も足も出ないなんて。
そんなの嫌だ。
「…この俺のようにね。」
…更科…
お前…
李那のこと、本気で好きなんだな。
だから、いい友達になれそうだと思ったのか?
俺が、李那を好きなように、こいつも好きで。
同じ思いを持ってる者同士、仲良くなれそうだと。
「…冗談ですよ。
でも李那のことが好きなのは事実です。」
更科は。
今まで見たこともないような真剣な顔をして俺を見る。
いつもバレーやってる時ですらこんな顔見たこともなかったのに。
「今の李那の気持ちも考慮してやってください。
ただでさえ、幼馴染で距離が近いんだから。」
「そんなの…分かってるよ…」


李那と別れて数日。
俺はいつものようにグラウンドを走っていた。
李那の事を忘れようと頑張っているんだ。
もうすぐ大会もある。
その集中のためだ。
「ーでねぇ、その時美那が…っ…」
「どうしたの?李那?」
一応退院して学校に通っている李那。
校舎側を走っていたら李那と目が合ってしまった。
だけど、俺の視線は李那の首元にあった。
どうしても逸らすことが出来ない。
だって、あれは…
あのネックレスは…

半年付き合った記念日にお互いにプレゼントしあったものだから。

俺のこと嫌いなんだろ?
それなのになんでそのネックレス付けてんの?
未練あるって認識しちゃうよ?
「…李那…」
思わず口から出てしまった彼女の名前。
李那は海澪ちゃんを置いてそのまま走り出してしまった。
「…っの!」
思わずおいかける俺。
だってあのネックレス付けてるってことはまだ俺に未練あるってことだろ?
「李那!」
…やべ、追いつけねぇ。
流石元短距離エース。
スピード全然落ちてない。
この俺が追いつけないのはただ1人。
そう、目の前を走っている彼女だけだ。
「李那!待て!」
「…話すことなんてない!」
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