美男と美女がうまくいくとは限らない。
美男と美女



小さい頃からチヤホヤされてきたとは思う


可愛いから、
カッコいいから、
これあげる


周りの人々はあたしたちに沢山の物を与えた


美男美女は生涯で3000万以上の得をするらしい


そういう容姿をくれた親には感謝している
だけどその反面…



〝これだからイケメンはいいよなあ!〟

〝可愛い子は何しても許されるわね〟



この容姿を妬む人ももちろんいる
いい事ばかりではないと思う


変わってくれるなら変わってほしいとさえ思ったこともある
そんなことはどう頑張ってもできないけれど。


大人になってみると容姿もまた、仕事の武器のひとつとして使えるものは使っていくしかなかった



「だあー!またこの2トップかよ!ほんっと敵無しだなっ」



掲示板に張り出された上半期の成績表を見ながら、あたしの隣でうなだれている男の人



「湊だって、ほら!前回よりもかなり成績上がってるじゃん、すごいよ!」



あたしは張り出されている彼の名前を指差して表情を伺う


湊はあたしよりも少しだけ背が高い…男の人にしては少し背が低いが、仕事に真面目で一生懸命な人


入社して7年目のあたしたちは30を目前としている歴としたアラサー


がむしゃらに先輩に付いていくのに必死だった20代も終わりに差し掛かり、仕事にも余裕ができてきた



「いいよなあ、咲妃乃は顔で落とせるもんなあ」

「まーたそうやって言う」



ほらね、湊はきっと悪びれなく言ってるんだと思うけれど、二言目には〝顔〟


でもそんなあたしも割り切ってこの容姿と付き合ってる
そのおかげで営業成績優秀


きっとこれは神様が与えてくれた一つの武器


どんなに欲しがられてもあげることのできない、あたしの武器



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