この恋は少しずつしか進まない



けれど、いつも憎らしい加島が私を見上げていて。

痛いわけじゃないのに一生懸命氷で冷やしてくれたり、私の言い付けを守ってスパイダーマンのTシャツを部屋着にしていたり。

私が帰ってきたらすぐに食べられるようにテーブルに箸とコップを並べて。

続きが見たいはずなのに連ドラの録画を我慢してニュース番組を見てるところとか。


ぜんぶ、ぜんぶ、可愛いなって思っちゃったから。



「先輩だけですよ、俺を甘やかしてくれるのは」


加島の髪の毛はとてもサラサラとしていて、私がしつこいぐらい何度も撫でても加島は嬉しそうにしてた。


そんな加島に胸がキュンとしたのは、色々あって疲れてるせいだろうか。


< 81 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop