亘さんは世渡り上手

亘さんと体育祭



水曜日のホームルーム。


今日は二週間後の体育祭の種目決めで教室は賑わっていた。


俺は別になんでもよかったので、余りものでいいかと体育委員の席を中心にしてできた円から一歩引いて男子の集団に目をやる。


体育委員はてきぱきと仕切っている。なかなか順調に決まっているんじゃないだろうか。


うちのクラスは周りに気を遣えるやつばかりだ。文句を言ってもじゃんけんで解決してくれるし、揉め事がなくて平和である。


クラス全体の仲が悪くないおかげだろう。


……それもこれも、きっと亘さんが頑張ってまとめてるからだ。


まさか、こんな素直に亘さんを感心する日が来るなんて思っていなかった。



「理人、残ってるのはこれだけどいい?」



体育委員が見せてきた紙に名前が足りなかったのは――借り物競争とリレーの欄だった。


体のどこかが、ドキリと跳ねる。


借り物競争っていえば、亘さんがやりたがっていたやつじゃないか。


だからって何かあるわけでもないのに、俺の胸はざわざわと渦巻いた。

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