約束と契約


あの桜の木の下で交わした契約は

今も私を縛る鎖だ。

「お姉ちゃん、どう?似合ってる・・・?」

頬をほんのり赤らめる彼女は軽やかに一周回ってみせる。

一歩進んで首元にある傾いたリボンを結び直すと、長い溜息の後に彼女は毒を吐く。

「ユキもお姉ちゃんみたいに綺麗だったら良かった。」

妹の雪は綺麗と言うには程遠く、花のように可愛らしい女の子だ。

年齢の割に子供じみている性格も、その顔のおかげで味を出している。

「あら、その可愛さを取ったら雪じゃなくなってしまうじゃない。」

白い歯を見せて無邪気に笑う彼女は、今までで一番美しく瞳に映った。



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