甘い恋は復讐の後で
 離れた場所にいた莉緒が一歩、また一歩と近づいてきて、俺の体に抱きついた。

 避けれたと思う。けど、もう……。

「汗、臭いです。」

「あぁ。走ったからな。」

「フフッ。
 伶央さんが走るとこ想像できない。」

「だから、黙れよ。」

 体を屈めて俺にしがみつく莉緒の顔を覗き込む。
 そっと頬に唇を寄せて鼻に噛みついた。

「イタッ。」

「心配させるな。頼むから。」

「……はい。」

「シャワー浴びてくる。」

 風呂場に入るとしゃがみこんだ。

 俺は……俺はもう………。


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