甘い恋は復讐の後で
 納得していなさそうな尚之さんも追い出すように帰して、やっとまた二人きりになると莉緒がぽつりとこぼした。

「ずるいよ。
 伶央さん、郁さんに優しい。」

「なんだよ。それ。郁に妬いてんの?」

「そ、そんなわけ………。」

 ごにょごにょ言う莉緒に耳元で囁いた。

「あんまり可愛いこと言わないでくれる?」

「可愛くないです!」

「可愛いよ。」

 莉緒は自分の魅力に気づいていない。

 気づかせた方がいいのか知らないままの方がいいのか……。
 どちらにしても心配だ。

「もう一回キスしよう?」

 赤い顔でムスッとする莉緒に顔を近づけて少し強引に唇を重ねた。

「私のエイキチピーが無くなっちゃう。」

 ぼやく莉緒に微笑んだ。

「HPな。」

 潤んだ瞳と目が合ってドキリとする。

 あぁ。
 やっぱり俺のHPが無くなりそうだ。

 抱き締めてもう一度キスをした。


< 157 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop