甘い恋は復讐の後で
「ありがとうございました!
 またのご利用お待ちしています!」

 爽やかな汗を流して引越し業者の人達は帰っていく。
 段ボールが積まれた部屋を見渡して改めて胸が踊った。

「やった!本当に今日から一人暮らし!!」

 はかったようにピコンッと携帯がメールを受信した。
 相手は兄からだ。

『引越し終わったかい?
 大変なら手伝いに行くからいつでも言ってね(ハート)』

 ふざけたメールについ声が出る。

「絶対に呼ばない!!!」

 お母さんに頼み倒して引越し先はお兄ちゃんには絶対の内緒。
 一人暮らしを邪魔されたら意味がない。

「さぁ、一人暮らしを満喫する為にまずは周辺探索と致しましょう。」

 兄のメールはもちろんスルー。
 スルーしたところで催促しに部屋に押入られることもない。

 ウキウキでアパートの鍵を閉めて階段をスキップで下りる。
 ちょっと早い夕ご飯を外で食べる為に街へと繰り出した。







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