甘い恋は復讐の後で
 約束通り大谷くんと待ち合わせてデートしてみることになった。
 穏やかで夢に見た通りのデート。

 その辺を言葉少なにぶらぶらして、それからレストランに入った。

 予約してくれてあったみたいで何もかもが順調に進む。
 怖いくらいに。

 私の前に座るのは同期の大谷くんなんだよね?と、訝る視線を送りたくなる。
 それくらい私には別人に思えた。

 食前酒を飲んでいた大谷くんが飲んでいない私にも勧める。

「飲まない?
 これ飲みやすいよ。」

「ありがとう。私は大丈夫。」

 お酒、あんまり得意じゃないのは大谷くんもよく知っている。
 それでも大谷くんは言葉を重ねた。

「お酒が入った方がお互いにリラックス出来ると思うんだよね。」

「大谷くん……緊張してるの?」

 目を丸くした私に大谷くんは頭をかいた。

「ハハッ。カッコ悪いな。」

 せっかく言ってくれてるんだから。
 そう思い直してグラスを見つめた。

「一口くらい飲んでみようかな。」

 伸ばしかけた手は突然の声にストップすることとなった。

「飲まない方がいいですよ?」

「え………。」






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