甘い恋は復讐の後で
　彼が離れて携帯の音が聞こえなさそうなくらいになってから急いでサイトを開いた。
　ハス様宛に送ろうと操作する手が微かに震える。

　もし今回も同じタイミングで受信したらハス様が伶央さんだって確信が持てる。

　もしそうならどうしよう。

　私、バニラなんですって名乗りたい。
　それで今までのお礼を言いたい。

　意を決して投稿ボタンを押した。

　周りの音が自分だけ聞こえなくなって静寂が流れた。
　時間さえも止まって何もかもが動かない。

「おい。どうした。」

　静寂を破ったのは伶央さんの声だった。
　ハッとして顔を上げる。

「体調でも悪いのか？」

「いえ。なんでもありません。」

　伶央さんの携帯に変化はなかった。

　自分の中で整理がつかなくてぼんやりしてしまう。

「おい。どうした？」

「……はいっ。すみません。
　大丈夫です。」

　ため息を吐かれても上手く心が働いてくれない。





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