青夏ダイヤモンド


午後の授業が終わった後、すぐに教室を飛び出し、公園に向かった。

息を切らして公園に着くと、脩がベンチに座って既に待っていた。

「走るなよ、って言ったじゃん」

私の気持ちを先読みするように、メッセージに書かれていたのだけど、逸る気持ちを抑えることはできなくて、気づいたら全力疾走していた。

「だって、脩のこと少しでも1人にしていたくなかった」

息を整えながら脩の横に座ると、脩は私のことを横から抱きしめた。

「まだ、汗ひいてない・・・」

「またそれか。気持ち軽くしてくれるんだろ」

まだ汗のことが気になるけれど、私も遠慮がちに脩の背中に手を回した。

黙ったまま、しばらくそうしていた。

木漏れ日がチラチラと私達を照らし、そよぐ風が頬を撫でる。

私達の周りだけが切り取られたかのように、そこだけがゆっくりと時を刻んでいるようだった。


「・・・終わったんだな」

そう呟いて体を離すと、深く息を吐きながら手を後ろに付き、足を投げ出して空を見上げた。

「くそーっ。終わっちまったー」

今度は空に向けて吐き出すように大声を出した。



< 215 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop