青夏ダイヤモンド


充希は特進クラスに入るためにバイトも辞めていて、すぐに帰路につくようになっていたので私といつも帰っていたが、放課後はピッチングの練習をすることにした。

なかなか1人でピッチング練習ができる場所も無くて、結局校舎の裏の壁に向けてボールを投げる練習をすることにした。

「少しなら脩や沖田くんに練習付き合ってもらえるんじゃないかな？」

充希はそう提案してくれた。

多分頼めば、きっと付き合ってくれただろうが、2人は野球部で正規の練習がある。

ただでさえ、特進クラスで授業数が多くて部活時間は削られているのだから球技大会のための、私の自己満足には付き合わせたくはなかった。

「いいの。コントロール練習なら壁相手でも充分だから」

充希も残ると言ったが、それは断って帰ってもらうことにした。

充希のことも巻き込みたくはなかった。

球技大会で勝ち負けがどうなろうと関係ない。

球技大会で完投できれば、自分の中で何が変わるような気がする。

ただそれだけだ。


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