死神の恋

「未来? もしかしてアイツが言ったこと、気にしてるの?」

放課後練習を終えて学校の校門を通った途端、真美が私にそんなことを尋ねてきた。きっと真美は、私の様子がおかしいことに気づいたのだろう。

あれから……。五時間目の授業が始まっても、放課後練習の最中も、彼に言われたあの言葉が頭にこびりついて離れない。

昼休みの裏庭で、名前も知らない一学年上の彼に言われた『オマエさ……近いうちに死ぬぜ』という言葉は昼寝を邪魔されたことへの仕返し。そう理解しているのに、もし本当だったら?という不安に苛(さいな)まれてしまう。

「真美。アイツ……近いうちって言った」

私がとくに気になっているのは『近いうち』という部分。彼は具体的な日にちこそ口にしなかったものの、それは明日かもしれないし明後日かもしれないと考えると、やはり気になって仕方がないのだ。

「そんなのデタラメに決まってるでしょ! とにかくあんなヤバいヤツの言うことなんか信じちゃだめだからね。いい?」

駅に向かっていた足を止め、私の両肩に手をのせて力説する真美は迫力満点。もちろん言い返すことなどできず、ただ「うん」とうなずくだけで精一杯。

昼休みに裏庭なんかに行くんじゃなかった……。

何故こんな目に遭わなければならないのかと気落ちしたまま、真美と一緒に駅に向かった。

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