死神の恋

家の前の道路を左手に曲がってすぐの場所にあるのが、どんぐり公園。この公園の入り口が私と真美の待ち合わせ場所。その名の通り、高いどんぐりの木がトレードマークの公園は親子連れや小学生の子供たち、散歩の休憩に立ち寄るお年寄りなどで賑わう、地元民に愛されている公園だ。

秋になり、地面に落ちたどんぐりを夢中で拾い集めた幼い日々が懐かしい。

そんなノスタルジックな気持ちに浸っていると、真美が手を振りながらこちらに走ってくる姿が見えた。

「未来! おはよう!」

「おはよう」

小学生の頃は集団登校だったため、真美とふたりきりで学校に行くようになったのは中学生から。真美と登下校をともにするのは今年で五年目。ほぼ毎日のように顔を合わせているにもかかわらず、今まで一度も会話に詰まったことがないのは、私と真美の相性がいい証拠だと思っている。

「文化祭も終わったし、いよいよ始まるね」

真美が言う『いよいよ始まるね』とは、十一月上旬に開催される新人大会へ向けての練習のこと。文化祭では三十二名の全部員がステージに上がったけれど、新人大会ではそうはいかない。

大会の会場であるプラザホールのステージに立てるのは、選抜された二十名のみ。十月中旬に新人大会に出場するメンバーを決める選考会が予定されている。

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