曖昧なポジション
作業終了の目処が立つと水沢は一瞬だけこちらを見て言った。
「飯、食って帰るか」
「…もう遅いから良いや」
彼女は心配しないのだろうか。
女性と食事なんて私だったらすぐにヤキモチ妬いて、水沢を困らせるのだろうな。
「それじゃぁ日曜の夕飯は、おごってやる」
「本当?」
「俺が嘘ついたこと、一度でもあるか?」
並べられた資料の山を整理しながら、得意気な水沢。その不適な笑みがなんともいえない。
ころころと変わる水沢の表情に胸を馳せるが……、私にだけではないのだと心の中で呟く。
彼女にしか見せない水沢の表情は、
もっと甘いものだろうか。
結局、思案の先に辿り着く、深い闇。
その闇に包まれ、楽しい気分が台無しになることはよくあり、水沢の"彼女"という存在が、私に醜い感情を与え続けている。