上司にプロポーズされて困ってます


それでも口から嗚咽が漏れる。

「うっ、うっ」

みっともないことはわかっているけれど、嗚咽は止まらない。

「柴本さん……」

課長がフッと笑った気がした。

それと同時に私は課長の腕の中に閉じ込められた。

フワッと優しく包み込まれている。

驚きのあまり、嗚咽は止まったけれど、身体が固まって動けない。

嫌なら突き飛ばせばいいのに、全然嫌じゃない。

むしろ心地好くて安心してしまう。

はしたなくも、もっと強く抱き締めてほしいと思ってしまい、一気に体温が急上昇する。

途端に恥ずかしさでいっぱいになる。

よくよく考えれば、始業前とはいえ、ここは社内。

恋人ならまだしも、付き合ってもいない男の人、しかも上司に抱き締められているという状況に気づき、身体をよじってみた。

< 7 / 20 >

この作品をシェア

pagetop