きっと夢で終わらない
正門から学校の敷地内に踏み込む。
通路両側に立つ桜の木はとっくに桃色の花を落として、青々と緑を演出している。
五月ももうじき終わり、植物には嬉しい水無月が目の前に迫っている。

運動場からは、ゴールネットにサッカーボールが入る音、野球ボールが金属バットに当たる音、通学路を挟んで向かいの体育館からは、バスケ部のドリブルの音、バレー部のサーブが入る音、奥の道場からは剣道部の掛け声が聞こえる。

来たる高体連のために朝も汗水垂らして練習を重ねる高校一年生、二年生の頑張る姿がそこには存在していた。
彼らは登校時間ギリギリまで練習して、本鈴とともに校舎に駆け込む。
今日もセーフ! などと笑い合う姿は、青春ここにあり、って感じだった。

でもあの中のどれにも、高校三年生はいない。
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