長谷川君には屈しないっ!
抵抗力60%

文化祭1日目



それからというもの、瞬く間に頭が痛くなるような学年一のイケメンと学年一地味な私がキスしたという噂は広がった。


長谷川君ファンの子からの視線はもはや槍のように痛い。


しかし、私は今一度言いたい。


たしかに、私の不注意で長谷川君を押し倒してしまったのは認めよう。


…が、キスをしてきたのは向こうからであって私のせいではないのだ。


それに、長谷川君がどんな経緯で私にキスをしたかは知らないが、私は見ての通り恋愛に関しては素人もいいとこ。


つまり、初めてだったのだ。


それにもかかわらず、その後の長谷川君の様子といいたら…、


「そこのホッチ“キス”取ってくんね」


「テ“キス”ト忘れたから貸して」


「そういえば、近くで空“きす”がでたんだってな」


私をどれほど弄びたいのか知らないが、“キス”という音が入っている言葉を故意に言ってくる始末。


それに対しての怒りもあり、私はあの日以来長谷川君を避けまくるという状態に至った。


絶対許さないんだから!











そんなこんなで迎えた文化祭1日目。


学校内は活気に溢れ、屋台や出し物をするクラスの宣伝の声があちらこちらから聞こえてくる。


うちのクラスも完成度の高いコスプレを売りに順調に売り上げを伸ばしている。


お昼時になり、来場者の数がピークになると委員の仕事も比例して忙しくなった。

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