長谷川君には屈しないっ!

文化祭2日目



そして2日目。


この日はミスコンや告白大会など、様々なイベントが開催されているらしい。


なぜだか、俺も部活のやつらに勝手に応募されてミスコンの男子部門に出出る羽目になった。


「なー、光輝あの店行こうぜ!」


「行ってら」


「一緒に行ってくんねーのかよ!」


隣でぎゃんぎゃん騒いでるのが、幼馴染の藤木李央-フジキ リオ-。


元気と運動神経だけが取り柄の脳筋野郎。


「長谷川!このお菓子あげる!」


「光輝君、よかったらこれお昼に食べてね」


そんなこんなしてると、俺の腕の中には食べ物や物でいっぱいに。


極め付けには、


「あ、あのっ。今日の後夜祭の時裏庭に来てもらってもいいですか?」


今までに何度も聞いたこのセリフを目の前にいる女子生徒から言われる。


「ごめん、予定ある」


そして、いつもと同じセリフで返す。


すると、横にいた李央が食いつき気味に言う。


「なんでお前ばっか女の子にモテんだよ!」


「知るか」


勝手に向うから来んだよ。


「俺だってモテたい!」


「あっそ」


「俺に少しくらい分けてくれたって…っ」


こいつってなんか餌取られた犬みたいだよな…。


と、隣で半泣きになりながらぶつぶつと言っている李央を横目で見ながら歩いていると、


「あ、長谷川君!」


前方から文化祭役員の腕章をつけた生徒が近づいてきた。


なんだ?


「上地さん知らない?」


「知らないけど」


「そっかー」


そう言って悩むような仕草をとる。


「なになに、地味子?」


横からひょっこりと現れた李央。


その片手にはみたらし団子が。


「うん。もうシフト交代の時間なんだけど、探しても見当たらなくて」


「あいつ影薄いからなー」


そう言って団子がひとつ口の中へ消える。
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