長谷川君には屈しないっ!
「あの…」


「…」


「もういいで…」


あくまでも冷静に(と心の中で何回も自己暗示して)対処しようと、そっと身を引こうとした時。


「まだ」


急に腕を掴まれ、私の体はそのまま長谷川君のもとへ引き寄せられた。


「…!」


「離れんな」


耳もとで発せられた低い声に、もはや私の脳の処理は追いつかないどころか、動きを止めてしまった。


背中に回された手が私の行方を塞ぎ、首元に埋められた顔が私の心を掻き乱す。


ドクン、ドクン、ドクン


私の心拍数は体を内側から追い立てるようにどんどんと上がっていく。


「不思議だな」


「…え?」


「お前の匂いすげー好き」


「なっ…///」


…なんだそのセリフは。


こっちは恥ずかしくて死にそうになってるのに。


なんでこの人はいつも…!


落ち着かせようとする気持ちと、その気持ちに反して一向に言うことを聞かない自分の体。


自分の中で異なるもの同士がぶつかり合い、そして、


…爆発した。


「もうすぐ用事があるので!!」
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