「しんちゃん!」は、りんが好きだ、大好きだ。
「だから、私…。
絶対に変えない!!!」

凜は持っていたスマホをかたく握りしめる。

凜…。

そんなに僕の事を……。

「…分かった。
僕の写真を待ち受け画面にして良いよ…」

「しんちゃん…」

「でも、その写真は駄目だ!! 今の状態の僕の写真を撮って、その写真を待ち受け画面にしてくれ!!」

「イヤ!!!」

「何で?」

「今のしんちゃんはかわいくないもん!!!
かっこいいんだもん!!!」

えっ…と……。

「…かっこいい方が…良いじゃないのか?」

「かっこいいしんちゃんは会えばすぐに見られるけど、かわいいしんちゃんはなかなか見られないから。
かわいいしんちゃんの写真が良いの!!!」

「そう……か…」

「うん!!!」

「…分かった…。
写真をもう1回見たいから、スマホを貸して欲しい」

「分かった!!」

凜がスマホを僕に渡そうとして…、自分の元に戻し。

「しんちゃん…。
待ち受け画面…変える気でしょ?」

「それは……」

バレたか……。

「待ち受け画面にしなくても…写真のフォルダから見れば良いじゃないのかなって…」

「しんちゃん……」

「うん……」

「イ~ヤ!!!」

凜はそう言うと、僕の右側を駆け抜けて行った。

「凜!!!」

僕の声が聞こえてるはずだが、振り返る事なく、走り続けている凜。

逃げたな…。

「捕まえるしかないな…」


待て!!!
< 8 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop