恋の残り香 香織Side
黙る香澄に、琴美はさらに続けた。


「もしかしてって言ってたけど、確実に健司君、彼女と別れたんだと思う…香澄への責任とかそういうので。
それがどういう事か、香澄、考えてみた?
もし香澄が健司君を好きだとしても、その何倍も、ううん、何十倍も健司君は彼女の事が好きで、今でも苦しんでるんだよ…」


そう言うと琴美は辛そうに顔を伏せた。

琴美は以前、辛い恋をしていた。

好きなのに別れなければならなかった。

だから健司の気持ちが嫌というほど分かって辛かったのだ。

そんな琴美を見ながら、香澄は自分の気持ちを改めて見つめ直していた。

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