恋の残り香 香織Side
「お母さん、お願いがあるの」


健司が帰った後、香澄は着替えを手伝う母親に切り出した。


「健司君の彼女だった、美加さんに会いたいの。
どこにいるか調べて」


母親は驚いた様に香澄を見上げていた。


「会ってどうするの?」


「関係ないじゃない」


香澄は母親の問いには答えなかった。

会ってどうしたいなどは全く考えてはいなかった。

ただ、健司が好きな女が自分とどう違うのか、それだけが知りたかった。

母親はそれ以上何も言わなかった。

数日後、母親は美加のアパートを調べ上げて香澄に報告した。

香澄は母親を連れだって美加のアパートを尋ねたが、すでに美加の姿はなかった。
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