夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

謝るワシに、親分《ボス》は『待っているから、早く戻って来い』と言ってくれた。
約二ヶ月程の入院生活という期間の中で、たった一度きりの束の間の見舞いじゃったが、その言葉はワシの何よりも支えになり、希望となった。

待っていてくれる人がいる。
現金な奴かも知れんが、そう思えるだけで頑張ろうと思えた。
そして気持ちに余裕が出来た事で、何事にも優しく、些細な事すら楽しい、嬉しいと受け入れられるようになるのだった。


親分《ボス》の見舞いから一週間過ぎた頃ーー。約二週間ぶりに、ユメがワシの病室を訪れてきた。

しかし、この日のユメはいつもと違った。
これまではワシの名を呼びながらバタバタと廊下を駆けて来て、病室に入ってくる前にその存在を確信する事が出来たのに……。
この日、静かに病室に足を踏み入れて来たユメを見た瞬間。ワシは生まれて初めての感情に落ち着かなかった。
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