夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

(4)


それから……。
ユメの元を去ってから、ワシは日雇いや短期の仕事をしながら各地を転々としていた。

『新たな道を歩め』

親分《ボス》が最後に残してくれたその言葉を、時折思い出しながら……。

だが。色んな事から逃げ、何よりも自分自身から目を逸らして続けていたワシに当然”新たな道”など見つかる筈もなく、時間だけが過ぎていく毎日。


しかし、そんな生活を約一年続けていたある日の事。ワシは、1人の少年と出逢う。
その人物とはーー………。


「っ……おい!何やってんだよ、ノイ!」

次の工程で使う材料である木材の束をなかなか持ち上げられずにいる少年に、ワシは呆れながら声を上げた。

少年の名は、ノイ。
あてもなく彷徨うように、ただその場しのぎの稼ぎ目当てにしか仕事をしていなかった当時のワシが、唯一名前を覚えて親しくした人物だ。

親分《ボス》の元では働けない、走る事は出来ないワシじゃったが、何でも屋として培った腕力はチビでも人一倍で、力仕事はお手の物。得意分野じゃった。
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