夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

ああ、やっぱり、ヴァロンさんなんだ。って思って……。
超えたいのに、どこか超えたくない、不思議な存在ーー。

……でも。

「今にきっと、俺がミライに敵わなくなるよ」

「えっ?」

鬼ごっこ終了後に、二人でおやつタイムをしている時にヴァロンさんが言った。

「盛者必衰《じょうしゃひっすい》。これからまだまだ伸びるお前と違って、俺はもうここから衰えていくだけなんだ。
ジジイやリディアが自分でその"最後の時"を決めたように、俺も決断出来る日が……くんのかな?」

その言葉に「そんな弱気な事言わないで!」って言いたかったのに……。僕の隣でボトルに入った水を一口飲んで、空を見上げるその瞳と表情があまりにも儚げで、言葉が上手く出てこなかった。
そしたら、じっと見つめている僕に気付いたヴァロンさんは、ニッて笑って……。

「強くなれよ、ミライ。
お前が白金バッジを受け取ってくれるその日が、俺の決断の日になるように」

まるで叶わない夢を語るように、呟いたんだ。
……
…………。
< 189 / 411 >

この作品をシェア

pagetop