夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

「……一体どう言うつもりでしょうか?」

静かな夜の港街の路地。
私の正面に立っているディアスさんが問いかけてくる。

「私は今夢の配達人の任務中ではありませんよ?それなのに調査員である貴女に邪魔をされるのは、何故でしょうか?
貴女がシュウ様《現マスター》の命で私に張り付いて居たのは知っています。けれど、さすがにこれは規約違反では?」

規約違反ーー。
確かに、調査員と言えども夢の配達人のプライベート……。つまり、任務中以外の面で本人の同意なく私生活に関わる事は禁忌《タブー》。
調査員の私は、今夢の配達人の任務中ではないディアスさんに関わる事は決してやってはならない事だ。

でも……。

「ーーご安心下さい。
私もついさっき調査員としての勤務時間を終えました。今は、ただのアカリさんの友人です」

そう答えて、私は調査員の制服の上着をバサッと脱ぎ捨てた。
これは任務でも、現マスターであるシュウ様の命でもない。私自身が選んだ行動だ。
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