夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

シーン、とした部屋の中で、僕は開ける事が出来なかった外の廊下へ繋がる扉を見つめていた。


『もう、いいですっ』

扉の外でそう言い放って、アカリさんは行ってしまった。


『っ……つまりマオさんは、私の気持ちよりもアラン様《弟》への気持ちの方が大事なんですか?』

『私がなんでここへ来たのか……分からないんですかっ?』

アカリさんの問い掛けに、何一つ答えてあげる事が出来なかった。

彼女に会いたかった。
彼女の笑顔が見たくて、少しでも長く一緒に居たいと思った。


ーーけど、怖い。
自らが欲しいと望むものに手を伸ばすのが……堪らなく怖い。

これは、記憶がないから?
それとも、僕の中に眠る記憶がそう思わせるのだろうか?


「……アカリさん、怒ってたよね」

ーーアランはアカリさんの事が本当に好きなんですーー

咄嗟だったとは言え、自分は何という事を言ってしまったんだろう?

今更だが、後悔が溢れてモヤッとする。
アランとアカリさん、二人が並んでいるのは確かにお似合いだ。

でも……。
アカリさんがアランに向かって微笑んでいる姿を想像した瞬間、強く強く思った。

嫌だッ!!ってーー。
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