夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

……酷い表情だ。
自信のなさが溢れ出た、頼りない顔。

そう思って笑顔を作ってみる。
左右の口角を上げて、それから……。


「……。
似合う、なんて……。やっぱりお世辞だよ」

上手く笑う事が出来なくて、表情が作れない自分は、今身に付けている花婿衣装に”着られている”感じがしてならない。
白いタキシードは、まるで絵本で見た王子様が着ている衣装そのもので……。
自分には、全くの不似合い。

思わず苦笑いが漏れた。
伊達眼鏡をかけ直すと、もう一度鏡で身だしなみを整え、ミネアさん達の所へ戻ろうとした。


……けれど、その時。
もう一度鏡に映った自分を見た瞬間、思った。

自分は以前にも、こんな衣装を着た事があったのではないか?……って。


「?っ……」

ーーそんな筈、ない。
自分の中に浮かんだ疑問をすぐに否定しながらも、何故だかその場から動けず、鏡に映る自分を見つめていた。

そしたら次第に、鼓動が高鳴ってくる。
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