妖精の涙【完】





老人バレスの計画。





羽をもがれ人間界に取り残された彼は人間への恨みを晴らすために、人間界についてを学び、同胞を訪ね、満を持してまずは人間同士の争いを利用した。

愚かな人間共は理由など関係なく争いを好む。

盗みという行為が重罪なことだと知った彼は、400年前に各地に散らばる同胞に呼びかけ盗みを働かせた。

最初の窃盗は正真正銘人間の仕業だったが、それに便乗し各地にその混乱を広げたことで人間は貧困に陥った。

唯一、飼われた妖精のいるフェールズはさほどダメージがなかったものの、印象を悪くさせることに成功した。


彼は人間だけでなく、フェールズの妖精も嫌いだった。

契約がある限りエネルギーが枯渇することもなく、我々のようにシルバーダイヤを血眼になってかき集める必要もないその地位。

同じく帰れない身としてはその天と地ほどの差がある境遇に恨みがあった。


そして掴んだ妖精王の子の所在。

妖精王の子を手に入れることができれば、妖精界と人間界をまた繋げることができる。

正確には王の子が必要なのではなく、膨大な月光のエネルギーが必要だった。

王の子が目覚め捕えようとするもフェールズの妖精に阻まれあえなく失敗した。


フェールズに近づくにはどうすればよいかと考えたとき、彼はフェールズを目の敵にするメイガスに目をつけた。

フェールズに一泡吹かせたいと思っているメイガスに近づき、まだ純粋だった新米国王の懐に忍び込んだのだ。

そして精魂祭という馬鹿げた催しを利用し、王の子をやっと捕まえたものの、他の策を思いついた彼は面倒ごとになる前に逃がしてやることにした。

他の策とは、妖精界産の純粋なシルバーダイヤに王の子のエネルギーを吸収させ、それを開門に利用するというもの。

人間界で王の涙によって生じたものではなく、妖精界で王が丹精込めて作り上げたシルバーダイヤが残っていたことは朗報だった。


幸い、精魂祭のときに純粋なシルバーダイヤの在処を確認した彼は、自分に向けられるメイガス国王の警戒が薄れる時期を見計らい、それまでにフェールズの評議会を手玉にした。

その正体を知らなかったものの、王の子を目障りだと思っていた評議会には効果覿面で、連れ出すことに快く協力してくれた。


そして真の計画を明かざず、なんとか指輪を王の子に渡しエネルギーを吸収することに成功した。

彼が指輪のエネルギーを吸収し空っぽにさせたシルバーダイヤは王の子のエネルギーを吸い取った。

実はシルバーダイヤは妖精王のエネルギーを込めたものに過ぎず、内から生み出しているわけではなく、エネルギーを枯渇させたままにするとやがて光を失っていくという特徴がある。

つまり、使い捨てだったのだ。


そして想定外ではあったが、王の子は繭にこもり、細くなった指からすり抜け床に落ちていた指輪を見事回収することに成功した。

膨大なエネルギーで満たされたシルバーダイヤを扉の真下にある祭壇に祀れば、やがて妖精界と人間界を繋ぐ扉が開かれる。

開かれた扉から現れるのは怒り狂った現妖精王だ。

現妖精王の妻がフェールズと契約した初代の妖精で、その子供が現在のフェールズの妖精。

人間と契約を交わした寛大な心を持つ妻の夫となれば、妖精王の最有力候補になるはずだと思い受け入れた健気な伴侶。

その契約を交わした矢先、決別した2つの世界。


さて、子供を閉じ込め妻を消えるまで縛り付けた人間を恨む現妖精王はどのようにして人間界を破滅へと導いてくれるのか…





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