いじわるな藍川くんの愛が足りない


目が覚めると、彼はいなかった。


彼の家なのに。


そしてわたしは...同級生の家でひとり、いつまで寝ていた?


「ッ!?!?」


机に置いてある時計を見て、わたしは飛びあがった。


だって、とっくに午後の授業が始まっていたから。


急いで彼の家をあとにした。


教室に着くとーー

彼はそこにいた。


ッなんっでいるの!?!?


どうして起こしてくれないの!?!?


案の定わたしは遅刻したことを先生に怒られ、罰として課題まで出された...。


席に座るとき、彼のことを思いっきり睨んだけど、

気持ち悪いくらいのにっこりスマイルでかわされた。


...絶対わざと、起こさなかったんだ。わたしが怒られたらいいと思ったんだ。だってふつう起こすでしょ!?


ーー前言撤回。


藍川くんは優しくない。


やっぱり彼と関わるとろくなことがなかった。


授業が終わったあと、「起こしてよ!」と小声で言うと、

「あんまり気持ち良さそうに寝てたから?」とまたスマイルが返ってきた。


それは悪魔の微笑みにしか見えなくて。


わたしは教室ということもあり、もう言い返さずにもう一度だけ彼をにらんでおいた。


わたしに天使の微笑みを見せてくれる日は...

...きっと来ない。

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