姉の婚約者

教団跡のプレハブで

私たちは帰りのタクシーでは何も話さなかった。というより、姉さんは寝てた。人の気もしらないでいい気なものだよ。

「あーあ、」

 何度目かわからない溜息。夢だったんじゃないかと思うけど、体中にしみこんでいるじゃ香の香りが夢ではないと知らせてくる。
オカルト?
まさか、ありえない。私は家に帰りついても昼間に寝ても、そして姉さんが仕事から帰ってきてもそのことばかりが頭の中をぐるぐる回りつづけていた。
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