3年経ってしまった、消せない話
彼は言葉に詰まりました。

明日の死は、彼女との約束を破る事になってしまうからです。


「生きてよ。私の居場所を守ってよ」


彼女の目からは涙が流れました。しかしもう前日。無理な話でした。

何か言葉をかけようとした所で、彼は目を覚ましました。


処刑当日。彼は生きたいと願いました。

毒ガスの部屋に向かう途中、とある警官が嬉しそうに言いました。


「君の無罪が、ようやく分かったんだ」と。


裁判でも死刑判決をされていた彼。もう取り消せないのでは?

そんな疑問が浮かびましたが、彼は処刑を目前にして開放されました。


「まだ、居場所を守れる」


彼は涙を流しました。

彼女が神様に無理を言って運命を変えてくれたのかもしれません。


そして彼の突然の釈放から数年後、真犯人が処刑されました。

真犯人は最後まで、何かに対して言葉を投げかけていたそうです。
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