春雷

「ああー、国際学部の高村先生かぁー」

村上先生がつまらなそうに言った。

「ほんと、完璧なルックス。高学歴の頭脳明晰ときたらそりゃ、色めき立っちゃいますよね。学生は。漫画から飛び出してきたみたい」

私も授業うけたいわー
と、関西風のイントネーションで長野女史はつぶやく。

確かに。
あんな素敵な先生の授業ならさぞ楽しいだろう。
まあ、私はきっと目が合えばうつむいて、
なんのインパクトもない学生になっていただろう。


「そやそや、聞きました?今年の履修登録、彼の授業定員オーバで、大抽選会だったらしいですよ。落ちて泣きだす子もいたとか‥」

「ああ、私も聞きましたよ。高村先生の授業中に、動画や写真を撮る聴講生がいて、それをネットにアップしてるらしいです。授業も耳に入ってるんでしょうかねぇ。フフフ」

「あ、でも、彼、噂ではバツ1らしいですよ!
性格がどっか難があるんじゃない?いや、そうであってほしいよ!」

えっ?

離婚歴あるの??

「まあまあ、村上先生、ひがまんといて。彼くらいの華がある人を夫にしたら奥さんだって色々大変だったんちゃいますか?まあ、余計なお世話ですけどね。彼、とても謙虚で真面目な方やし、ほんまにパーフェクトですよ?」


長野学部長は、決して他人の悪口を言わない。
学生には愛情を持って接していらっしゃるし、
私の大好きな先生の一人だった。

よく喋るけど‥
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