春雷

「そうなんだ!じゃあ私も二枚のコード見てくる!」

由乃ちゃんの部屋を後にして
自分の部屋に向かった。

高村先生に取ってもらった銀テープは
カバンの中にたたんでしまっているままだった。
これを見ると、
マンションに
うなだれて、トボトボと帰っていく彼の姿を思い出す。


(あんな約束をしたから、取れなくてショックだったのかな‥)

だと、したら

サインボールが取れたら、本気でフランスに行くつもりだったの‥?

(いや、さすがに無い無い)


私は二枚の銀テープのQRコードを、スマホで一枚、かざしてみた。

「残念!はずれ!、て、何が?」

よくわからないまま、もう一枚コードをかざすと————




「当たり!シークレットイベントに当選しました!」


「エッ!何?何?」


ページが飛んで、違うサイトに行くと、
詳細が書いてあった。




「当選者にはレッドイーグルメンバーのサインボールプレゼント‥‥?」


こっ、これって!!!

「高村さん、サインボール、とっちゃった‥?!て、こと‥‥⁈」



私は思わず頭を抱えて、床にうずくまった。



あれだけ落ち込んでる彼を、これで元気つけたい気持ちにはなるけど、
バラすと、本当に連れていかれそうだ。


「うん、そうだ‥今は言わない方がいい
今はやばそうだわ‥」

「何やってんのさ?琴葉さん」
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