トンネルを抜けたら恋だった
「ええ、先ほど そう話されてましたので
食べ方は理解してますよ
着きましたので、早速買い出しに
行きましょうか」

「あ…うん それなら良かった」

ん?本当に良かったのかな

当然のようにカゴを持ってくれる斉藤くんの横に
並びながら、陳列棚の鏡部分に映る姿をみて
急に恥ずかしくなってきた
なんか彼氏彼女というか
斉藤くんのあまりの落ち着きっぷりに
夫婦感が出てて…こっちは落ち着かないわ

「大丈夫ですか?
だいたいカゴに入れてみましたけど
こんな感じでいいですか?」

「ええ、ありがとう
買いたいと思っていたものが
完璧に揃っているわ」

レジでもバックから財布をだしている途中で
先にカードを出されて、財布を手で制止された

「ご馳走になるのですから
これくらいは当然です」

いやいやどう考えても
立場的にも状況的にもわたしが払うべき
シーンなんだけど…困ったな
受け取る気ありませんという空気に
手際よく袋詰めしてる姿に

「ありがとう」としか言えなかった
< 33 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop