トンネルを抜けたら恋だった
手元のスマホの画面が明るくなって
啓太が着いたことを知らせてきた

「着いたみたい
じゃあ、行きますね」

買った荷物をまとめて持って
立ち上がろうとすると…

「まだ座ってて大丈夫じゃないかな
うん、着たね

いらっしゃいませ

ほらね」

そして、その保護者の目力発揮した聡史さんに
ビビることなく私のところまで一直線にきた啓太が
聡史さんに会釈した

「待合せですいません
今日は遅いので後日改めて2人で食事にきます」

「全然構いませんよ
夜遅くに莉子ちゃんを1人で外に出す訳には
行かないからね

じゃあ、莉子ちゃん
今度は2人でゆっくりおいでね」

なんだか2人の世界というか見えない結界みたいのが
見えて、全く口を挟まなかった私の頭に
ぽんぽんと手を置いて行った

「はい…そのうち…近々ですよね

啓太迎えに来てくれてありがとう
こちら聡史さんでここのお店のオーナーで
高校の時の友だちのお兄さんなの
あと隣にいるのは宏太くん

そして同じ会社で同じ部署の斉藤くん

それじゃあ、聡史さん、宏太くん
ご馳走さまでした

また来ますね」

まとめた買い物袋をさりげなく啓太が
手に取り横に並んで会釈する

「ありがとうございました
またね、莉子ちゃん」
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