極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

「もしかして、万佑ちゃん、毎晩家に直帰? 社内の男性からデートに誘われたりしないの?」
『浮いた話はないです。そもそも、私は社内恋愛反対派なので』
「へぇ、どうして?」
『社内恋愛は別れてから面倒だと思うし、アラサーで失恋を周知されるのは傷が深そうなので、私には不向きです』
「なるほどね……」

 環は淹れたてのドリップコーヒーを飲みながら、万佑が過ごす日々を想像した。

 広告代理店の男性は、比較的派手で社交的な印象だ。
 知り合いで、万佑が勤めているグループ企業のトップであるブルーメゾンの葛城とは、仕事を通じてよく話す機会があるが、彼だってとても華やかで人目を引く。

 そんな環境に彼女ほどのかわいい女性がいるのに、周りの男性がなぜ無関心でいられるのか、環には不思議でならなかった。

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