愛してほしい
部屋に残された自分と紙切れ

そんな静寂の中携帯が悲鳴を上げる

楓さんからの電話だった
楓さんは晴斗の親友で私とも仲がいい

ピッ

「ことちゃん!?晴斗がッ!!!」

「え…?」

「早く病院に来て!場所は…」

電話が切れたあとの記憶は曖昧で状況を理解するのに時間がかかった

気が付くと、目の前には痛々しく包帯の巻かれた晴斗がベットに横たわっていた


晴斗は家を出て少し歩いた十字路で飲酒運転の車に引かれたと、楓さんから聞いた


「どう、して…?」

怖かった。自分のせいで晴斗がいなくなると思うと怖かった

自分があの時素直になっていたら晴斗は家を出なかったし、事故なんて起きなかったかもしれない

病院について自分たちの関係を思い知らされた

「すみません。ここから先は親族の方しか通すことができません。」

分厚いガラス越しにしか晴斗を見れない。手も握れない。話せない


私たちが面会を許可されるとき、晴斗は眠っていた

幸い軽傷で済んだらしい。しかし、頭を強く打っていて頭の包帯が痛々しかった。


「は…、はると…?」

やっと絞り出した声は掠れていた

「ねぇ!晴斗!
ごめんなさいッ!ごめんなさい…」

私には泣いて謝ることしかできなかった

はると…

晴斗が目を覚ましたらまず謝ろう
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